|
プロレスにおけるヒール(Heel)とは、プロレス興行のギミック上、悪役として振舞うプロレスラーのこと。悪役、悪玉、悪党派などとも呼ばれる。通常、ヒールは反則を多用したラフファイトを展開する。金的への攻撃、凶器の使用といった反則はもちろん、レフェリーへの暴行、挑発行為、観客席での場外乱闘、果ては他者の試合への乱入なども行う。ヒールの対義語としてはベビーフェイス(善玉、正統派)が存在する。 ヒールは、元々はアメリカのプロレス業界で用いられていたスラングである。日本では元々「悪玉」、「善玉」という日本語の表現が用いられていたが、現在では日本のプロレス業界でも一般的な単語になっており、プロレス以外のスポーツや一般社会や創作物の中でも、敵役的なイメージの人物をヒールと呼ぶことがある。メキシコにおけるルチャリブレでは、ヒールのことを「ルード」、ベビーフェイスを「リンピオ」あるいは「テクニコ」と呼ぶ(いずれも男性形。女子ではルードはルーダと呼ばれる)。 == 歴史 == 1920年代、アメリカの都市部で隆盛したレスリング・ショーにおいて「正義」対「悪」という、勧善懲悪的アングルが興行を盛り上げる上で必要と考えられたため、「ベビーフェイス」と同時に「ヒール」が発祥した。 基本的にはどの国でも自国レスラーがベビーフェイス、外国人レスラーがヒールというのが通例であった。アメリカでは人種に基づく差別や偏見が根強く存在し、多くの場合第二次世界大戦で敵国人だった日本人(グレート東郷、ハロルド坂田など)やドイツ人(ギミックではあるがハンス・シュミット、フリッツ・フォン・エリック、ワルドー・フォン・エリックなど)、あるいは共産圏のスラブ系(イワン・コロフ、ニコライ・ボルコフなど)や異文化・異教徒を象徴するアラブ系(ザ・シーク、スカンドル・アクバなど)、正体不明の覆面レスラー(ザ・デストロイヤー、ザ・スポイラーなど)といった、わかりやすいヒールが主流であった。ジャイアント馬場もアメリカ修行時代にはヒールとして活動している。 日本でも力道山時代には、外国人=ヒールという図式のもと、アメリカ人の悪役を日本人である力道山〔生まれは朝鮮半島だが、誕生時点では日本領だったことから日本国籍であり、また角界入りした際に長崎県出身とされたため、当時はほとんどその事実は知られていなかった。〕が倒すのが定番の流れだった。戦勝国であるアメリカの大柄なレスラーを、敗戦で意気消沈した日本の小柄な力道山が倒すという展開に当時の日本のファンは熱狂した。 しかし1970年代に入ると、日本のプロレス界ではアメリカ人のドリー・ファンク・ジュニアとテリー・ファンクの兄弟がベビーフェイスとして人気を得た〔対するヒールはザ・シークとアブドーラ・ザ・ブッチャーであった。〕。スタン・ハンセンやブルーザー・ブロディなどは本来はヒール的な役回りでありながら、その強さで日本人ベビーフェイス以上の人気を得た。逆に上田馬之助や極悪同盟は日本人でありながら日本国内でもヒールであった。アメリカでも、1980年代末の冷戦終結後は、ロシア人ギミックのニキタ・コロフがベビーフェイスとして活躍している。 1983年にロード・ウォリアーズがNWA世界タッグチーム王座を獲得した以降は単純な勧善懲悪の時代も終わり、1990年代にはストーン・コールド・スティーブ・オースチンやジ・アンダーテイカー、またnWoやD-ジェネレーションXに代表されるような、かっこいいヒール(=アンチヒーロー)が人気を博した。日本では蝶野正洋、鈴木みのる、藤田和之、またノーフィアーやラス・カチョーラス・オリエンタレスが同様の人気を得ている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ヒール (プロレス)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|